令和7年度山形県公立高校入試問題難易度
◎令和7年度の山形県公立高校の入試問題についての雑感
今年の入試問題は昨年より国語がやや難しく、数学はかなり難しく、社会と難しく、理科はやや難しく、英語は若干易しいと思います。全体的に難しかった問題だったと思います。
◎国語
大問1は問5と問6が答えにくかったと思います。そのため、例年より点数は下がると思います。大問2は例年通りの問題で、分かりやすかったと思います。大問3の古文も例年並みの問題だと思います。大問4の問1の漢字も例年より易しく、問2も報告する工夫や資料の入れる箇所の問題ですが簡単だったと思います。作文は広告を見て「面白い」ところ書く問題でしたが、国語辞典の①の意味で「宇宙人がいて面白い」という内容で書くと、自身の体験や見聞きしたことを書くのが難しく、②の意味で「宇宙人がいるのに誰も気づかないところが興味深い」という内容で書いた方が書きやすかったと思います。①と②のどちらの意味で書いても構わないのですが、②で書いた方が点数が高くなると思います。
大問1が難しかった問題でしたので、R5、R6の問題よりやや低い平均点になると思います。
◎数学
今年の数学は易しい問題は易しく難しい問題は難しい、難易度の差が大きい問題でした。特に文章題と大問4の図形の問題が難しく、高得点がとりにくい問題だったたと思います。
大問1は3の平方根の問題は勘違いしやすい問題でした。平方根の中が2乗の数になり、平方根がはずれて整数となる自然数nの個数を求めるです。225が15の2乗になることに気がつけば分かるのですが、nが自然数なので0が入らないので、n=0とはならず14個と答えると間違います。平方根がはずれた方の数が整数ですので、n=225は√0となり整数の0となるので、1個増えて15個が正解となります。尚、平方根の中の数が0,1,4,9,16,25,36,49,64,81,100,121,144,169,196となり、そうなるnの値はn=225,224,216,209,200,189,176,161,144,125,104,81,56,29の15個です。自然数と整数の0の扱い方の違いを理解しているかを問う問題でもありましたが、何も疑わずに素直に15個と答えても正解になる問題でした。4の半球の表面積を求める問題は、球の表面積の公式を半分にして、切り口の円の面積を足すと求められる問題でした。切り口の分の面積が増えることを忘れた方も結構いたと思います。5の箱ひげ図の問題はヒストグラムから丁寧に四分位数を求めれば簡単に分かったと思いますので、だいたいの方ができたと思います。
大問2は文章題以外は比較的に易しかったと思います。1の(1)の問題は反比例で変化の割合を求める問題で、R2年度でも同じ問題がでました。(変化の割合)=(yの増加量)÷(xの増加量)で求められますが、yの増加量が負の数になりますので、変化の割合が負の数になるのがポイントでした。1の(2)の問題は二次関数の比例定数とグラフの位置関係の問題でした。点Aのx座標が2で、関数①の式に代入し、y=3と求め、点Aの座標から関数②の比例定数aの値を求めるとa=3/4となり、1より小さい値になります。関数③の比例定数bの値は求められませんが、関数②より、関数③の方が開いているので、bの値がaの値より小さいことが分かります。よって、b<a<1となり、エが正解となります。例年より易しい問題でしたので、できた方が多かったと思います。2の作図の問題ですが、基本的な問題でしたので、完答できた方が多いと思います。条件①より、直線ABと直線BCから等距離にあるので、∠Bの二等線分をひきます。線分PCと線分PDの長さが等しいので、線分CDの垂直二等分線をひきます。ひいた線同士の交点が求める点Pとなります。3の文章題の問題ですが、例年の問題と異なり、残ったそば粉の量を直接求めることができない問題でしたので、どのように式を立てればよいか悩んだ問題だと思います。この問題はそば粉の量では式がつくれないことに気づかないと式が作れません。作ったそばの数をx人分、うどんの数をy人分として、連立方程式をつくる方が簡単です。作った人数分の式がx+y=58、使ったうどん粉の量の式が20x+100y=3000と作ります。解答例のように分数で書かなくても問題ありません。この連立方程式を解くとx=35となります。それから、使ったそば粉の量が1人分80gなので、35人分では80×35=2800(g)となります。よって、残ったそば粉の量は3000-2800=200(g)が正解となります。この問題に時間をかけた人は大問4の図形の問題をする時間がなかったと思います。4の確率を使った説明問題は単純で簡単だったと思います。
今年の大問3はロープウェイの時間と標高に関する問題でしたが、非常に簡単な問題でした。一部グラフが書いてあり、問題文を読むだけで、特に計算をする必要もなく残りのグラフもかけましたので、左側の問題は完答できた人が多かったと思います。2の問題ですが、例年に比べると解きやすかったと思います。大樹さんの関係式を求めるため、大樹さんの座標を求めます。まず、明美さんが出発してから5分後に同じ標高になることから、x=5を1の(2)のアの式に代入して、yの値y=75×5+100=475を求め(5,475)とします。次に明美さんがB駅について2分後に大樹さんがB駅に着くので(8,550)となります。この2点の座標から直線の式y=25x+350を求め、y=100の時のxの値を求めるとx=-10となり、正解の10分前が求められるます。大問3は時間があれば完答できたと思います。
大問4の1の証明問題はおうぎ形の内部にある三角形の相似の証明でした。対頂角の∠AEC=∠OEFは、ほとんどの方が書けたと思いますが、もう一つの角ができなかったと思います。円周角と中心角の関係から∠EAC=∠EOFを導くのですが、このタイプの円周角と中心角は目の錯覚が起きやすく、同じ大きさに見えないことで悩んだ方が多かったと思います。この証明で悩んで時間がかかり、2以降の問題ができた方はほとんどいなかったと思います。2の(1)は、△AOCが正三角形になることが分かれば、△AEC≡△BEOであることが分かります。点Eは線分OCの中点となり、OCも半径なので、OE=3㎝となります。また、△AOCは二等辺三角形で点Eは線分ABの中点なので、△AOEは直角三角形となり、三平方の定理より、AE=3√3㎝が求められます。1の証明から、△AEC∽△OEFより、EC:EF=AE:OEから、EF=√3㎝、BF=BE‐EE=AE-EF=2√3㎝より求めることができます。△AEC≡△BEOだから、△AEC:△OBF=△BEO:△OBFとなります。△BEOと△OBFは高さが等しいので、底辺の比が面積比となり、BE:BF=AE:BF=3√3:2√3=3:2が正解となります。2の(2)は恐らく解く時間があった方はいなかったのではないかと思います。円錐の側面のおうぎ形の弧の長さと底面の円周の長さが等しいことから円錐の底面の半径を求めると2㎝となります。円錐の3点O,A,Cを通る平面で切った切断面の△OACはOA=OC=6㎝,AC=4㎝の二等辺三角形になります。この二等辺三角形の頂点Oから辺ACに垂線をひき、垂線と辺ACの交点をHとすると、△OAHは直角三角形になり、三平方の定理よりOH=4√2㎝となります。また、辺OCの中点Eから辺ACに垂線をひき、垂線と辺ACの交点をKとすると、点Kは△OCHで辺CHの中点になるので、中点連結定理よりOK=2√2㎝となります。AK=3㎝で、△EAKで三平方の定理からAE=√17㎝が求められます。
今年は大問2の文章題と大問4の証明のどちらかが完答できないと、80点に届かないので、80点以上とれた方はほとんどいなかったのではないかと思います。普段実力テストで80点以上とれたいた方は大きく影響を受けたと思います。ただ、比較的簡単な問題が約50点分ありましたので、普段実力テストで60点未満の方はあまり影響がなかったと思います。平均点は昨年より5点程度低くなると思いますが、数学の上位だけでみると10点以上下がると思います。
◎社会
今年の社会は昨年より難しかったと思います。特に地理と歴史前半が難しかったと思います。
大問1の世界地理は、1の緯度から地図上の距離を求める問題でした。地図上のPQ間の緯度が45°になるので、北極点から南極点までの間の緯度が180°と北極点から南極点までの距離が20000㎞から、20000×45/180=5000㎞となり、イが正解となります。2の問題はイスラム教の聖地がメッカであることを覚えていればできたと思います。3の資料の問題はBのフランスを選ぶ問題でした。フランスは先進国で第3次産業の割合が高く第2次産業の割合が低いことが分かれば、正解のイを選べたと思います。4はメキシコの公用語がスペイン語であることが分かればできたと思います。ちなみに、中南米や南米はブラジルがポルトガル語以外、すべてスペイン語が公用語です。5の(1)は焼畑農業の説明ですが、「灰を肥料にする」という内容だけでは減点になります。「木を切って焼き、灰を肥料にする」という内容であれば満点です。5の(2)は農産物の生産量から南アメリカ州を選ぶ問題ですが、南アメリカ州のブラジルとアルゼンチンで大豆の生産が盛んなことを知っていればできたと思います。世界地理は1、3、5の(2)の計算と資料の問題が難しく、例年より若干低くなると思います。大問2の日本地理は、1の(1)がAの福井県は眼鏡、Bの島根県は石見銀山、Cの山口県は下関戦争、Dの兵庫県はポートアイランドといった特徴を覚えていないとできない問題でした。2の(2)は資料を丁寧に見ればできたと思います。2の(3)はBの島根県のデータを選ぶ問題ですが、島根県は人口が少なく、漁業が盛んない県だと分かれば、正解の①を選べたと思います。②は製造品出荷額が多いので福井県となります。①と②で迷ったと思います。今年の地理は苦手な方には難しい問題だったと思います。今年の地理は20点以上とれていればよい方だと思います。
今年の歴史前半は細かな点を問う問題があったので、例年より難しかったと思います。大問3の1の(1)のウの百済を地図から選んで書く問題、1の(2)の大宝律令ができる前に起こった壬申の乱の問題、2の保元の乱の問題などは歴史が好きな方でないとできない問題でした。3の(1)の鎌倉時代の分割相続は教科書には載っていますが、できた方はかなり少なかったと思います。大問3は10点取れればいい方だと思います。大問4の1の征韓論は難しかったと思いますが、それ以外は比較的できたのではないかと思います。今年の歴史は20点以上とれればよい方だと思います。
公民も知識をしっかり覚えていれば、難しくはなかったと思います。大問5の3の(2)だけは書きずらかったと思います。大問6の3の(2)の需要曲線と供給曲線の意味を理解していないとできない問題でした。今年の公民は25点以上とれていればよい方だと思います。
今年の社会は社会の得意な方でも80点以上とれるのは難しい問題だと思います。平均点は昨年より低くなり、2年前のR5年の入試問題並みに低い平均点となると思います。
◎理科
今年の理科は計算問題が多かったですが、単純な計算問題がほとんどでしたので、理科の得意な方はだいだいできたと思います。ただ、理科の苦手な方は昨年と比べるとできなかったと思います。
大問1は3のライオンの目の見え方の問題が難しかったと思います。中1の理科の教科書の本文以外のところに記載されている内容なので、「立体的に見える」とう表現が書けなかったと思います。大問2は2の(2)の蒸散の計算問題が難しかったと思います。求め方は、まず枝Yの値から枝Zの値を引くと葉の表面からの蒸散した量が求められます。この値を枝Xの値に足すと7.6mLのイが正解となります。それ以外はできたと思います。
大問3の太陽の1日の動きと大問4の火成岩の問題はできた方が多いと思います。
大問5は1の発生した気体の質量を求める問題ですが、グラフから炭酸水素ナトリウムの質量と発生した気体の質量は比例関係になっている範囲であることが分かるので、1.00gの炭酸水素ナトリウムの発生した気体の質量が、0.50gの炭酸水素ナトリウムの発生した気体の質量の2倍になると分かれば0.52gと求められます。簡単な計算問題でしたので、できた方は多いと思います。2の(1)の炭酸水素ナトリウムと塩酸の化学反応式を完成させる問題は難しかったと思います。この化学反応式を覚えているか、二酸化炭素が発生するので、それ以外に何ができるか考えて化学式がかければできたと思います。2の(2)の問題は上方置換で集めることのできる気体は空気より密度が小さいと分かっていれば、アとウを選べたと思います。3の計算問題はベーキングパウダー10gのうち25%が炭酸水素ナトリウムなので、10×0.25=2.5gが反応する炭酸水素ナトリウムとなります。うすい塩酸を10mLのとき、反応する炭酸水素ナトリウムの質量は2.00gを少し超えるので、同じうすい塩酸を20mLに増やすと、反応する炭酸水素ナトリウムの質量は4.00gを少し超える質量が完全に反応することが分かります。2.5gの炭酸水素ナトリウムはすべて反応して気体を発生させるので、0.50gの炭酸水素ナトリウムの発生した気体の質量の5倍になると分かれば1.3gと求められます。大問6の塩化銅水溶液の電気分解の問題で、2のイオンの電離の様子を表す図を選ぶ問題ですが、銅イオンと塩化物イオンを表すモデルを間違えて、正解のウではなく、カを選んだ方もいたと思います。問題をしっかり読まないといけない問題でした。3の電解質の水溶液を選ぶ問題ですが、イの食塩水は選べたと思いますが、エのアンモニア水を選べたかどうかです。アンモニア水ですが、アンモニアが水の中でアンモニウムイオンと水酸化物イオンに電離しますので、電流が流れます。すべて選ぶ問題でしたので、イだけでは不正解となります。
大問7のばねの問題ですが、2の(1)の質量20gごとのばねの伸びを求める問題は40㎝から36.8㎝を引けば3.2㎝が求められる問題でしたので、できた方が多かったと思います。3のばねの引く力の大きさを求める問題は、ばねの伸びが40-32.8=7.2㎝で、2の(1)より、質量20gあたり3.2㎝のびるので、質量20gのおもりにはたらく重力が0.2Nとして、比例式で求めると、x:7.2=0.2:3.2よりx=0.45となり、正解のイが求められます。ばねの問題は比較的単純な問題でしたので、完答できた方が結構いたと思います。大問8の発熱量の実験の問題は、2の回路図はだいたいの方はできたと思います。3の(1)は電圧と電流を横軸にとり、5分後の上昇した水温を縦軸にすると、グラフが直線にならず、比例関係にないことが分かりますので、正解がウを選べたと思います。また、発熱量が消費電力に比例することを覚えていれば、図にかかずともできたと思います。3の(2)の電力量をWhで求める問題は、電圧4.0Vで2.0Aの電流が流れるので電力=電圧×電流より、電力は8Wと分かります。電力量=電力×時間から、5分が5/60時間となるので、8×5/60=2/3≒0.66≒0.7Whが求められます。時間の単位換算を間違えなければ、できたと思います。
理科の得意な方は80点を超えることができたと思います。ただ、苦手な方は実力テストの点数程度がとれていればよい方だと思います。今年の理科は、昨年ほどは易しくなくR5ほどは難しくないので、平均点は昨年の易しい問題より5点程度低くなると思います。
◎英語
今年の英語は、リスリング問題が難しく、長文問題は易しかったと思います。英作文の問題が条件が変わりましたので、平均点は英作文のでき次第で大きく変わると思います。
大問1のリスリング問題は昨年まであった、ただ聞き取り英文を書く問題がなくなり、設問も難しかったので、例年比べるとかなり下がると思います。
大問2の1の(1)の曜日のThursdayを答える問題、(2)は熟語のeach other (互いに)のeachを答える問題、(3)の仮定法のI wish I ~のwishはできた人は多いと思います。大問2の2の対話文の(1)は例年通りの問題でできた人は多いと思いますが、(2)は昨年から若干長い文になっていたものがさらに長い文になりました。単語のcomfortable(心地よい)の意味が分からないと選びにくい問題でしたので、できなかった方も多いと思います。大問2の3の並び替えの問題の(1)はDo you have anything cold to (drink?)となります。anythingとcoldの位置を間違えた人が多かったと思います。(2)はHow about the museum that opened last (month?) となります。How about~?(~はどうですか?)の文だと気づいたと思いますが、関係代名詞のthatを使った文なので、難しかったと思います。
大問3は今年は分かりやすかったと思います。3の内容に合うものを選ぶは、イ・ウ・オの3つに絞れたと思いますが、イはアメリカの紙の消費量がsix hundred million tonsとなっており、本文中に世界1位の中国の紙の消費量がone hundred million tonsと書いてあることに気づけば誤りであることが分かります。そのため、正解はウ・オとなります。あまり英語で大きな数量を表し方を学んでいないので、難しかったと思います。ちなみにone hundred million tonsは1億トンです。
大問4は昨年に比べると非常に答えやすかったと思います。6のIIだけは難しかったと思いますが、それ以外は英語が得意な方はほぼできたのではないかと思います。
大問5の自由英作文の問題は昨年までの4文以上という条件から、25語以上という条件に変わったため、英語の苦手な方にはつらかったかもしれません。25語未満の場合、部分点も5点以上はつかないはずですので、何が何でも25語は最低書かなければまりません。設問の方は「日本でどこを訪れるべきですか。その理由は?」という課題でしたので、書きやすい課題でしたが、25語以上書けたかどうかで、今年の平均点が大きく変わります。書けた人が多ければ、R5以前並みの易しい問題になり、書けた人が少なければ、昨年より若干易しい程度の問題になります。
今年の英語は英語が得意な方でも90点以上を取るのは難しいですが、80点以上はとれたと思います。
今年の入試は、数学が難しく、英語の英作文のでき次第では、全体の平均点は昨年より10点程度下がると思います。